平穏な日々

カナダへ来て以来、私の今までの日本での人生からは考えられない程の平穏な毎日を過ごしている。ふとシャワーを浴びながら、「平和だなあ〜」と思い、一体こんなに平和なのはいつ以来だろうと回想してみた。（ここで言う平和と言うのは、私の心の中だけの話しである）どんなに思い返してみても、物心付いた頃から、色んな葛藤があった。両親とも、兄弟とも、親戚とも、学校でも、もちろん大人になってからも、あらゆる場面で。みんなそれぞれが一生懸命ちゃんとやっていて、みんな素晴らしい人達ばかりだったのだが、何故か歯車が合ってなかったのだろう。私の心の置き所が悪かったのかもしれないし、みんなから見て、日本の常識としてごくごく普通のことにひっかかってしまう私は、誤解を招いてしまいやすかったのかもしれない。それをいちいち説明する気も起こらなかったし、私の中では相当時間を掛けて、悩み抜いた挙句の発言でも、周囲からは「突然、勝手なことを言い出す人」の様に映ったのかもしれない。ほとんどの時間は、素の自分でいることはなかった。常に自分を隠し、押し殺さなければいけないと思ってきた。そんな訳なのだから、その間、心が平穏になるなどということは無理な注文である。こちらに来て、小さなトラブルがあるにせよ、それを楽しめるほど余裕ができた。最近では、丸い光の中に自分はいて、守られながら過ごしている様な気になったりする。もう少し時間を掛けて、私の心がしなやかに強くなったら、いつ、どこにいても、自分自身でいられるだろう。